鉄筋の「かぶり」とは?・鉄筋工の基礎知識【鉄筋工が解説】

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鉄筋のかぶり基礎・TSスペーサー鉄筋

かぶり」はちゃんと確保できてるか?

はい!バッチリです!

1級鉄筋施工技能士のとも丸*です。

 

みなさん、鉄筋の「かぶり」って知ってますか?

鉄筋工のみなさんも、なぜ「かぶり」が必要なのか考えたことありますか?

鉄筋工として働くなかで、「かぶり」という言葉を聞かない日はないのではないでしょうか?

そんな「かぶり」は、鉄筋工の基礎知識としても確実に押さえておきたい重要なポイントになります。

 

今回は、その「かぶり」について、「かぶりとは何なのか?」「なぜかぶりを確保することが重要で必要なのか?」を詳しく解説していきます。

 

鉄筋のかぶりとは?

鉄筋の「かぶり」とは…

簡単にいうと、鉄筋コンクリートのコンクリート表面(型枠)から内部の鉄筋表面までの最短距離のことをいいます。

建築用語では一般的に「かぶり厚」ともいいます。

「かぶり」は鉄筋コンクリート構造の構造物をつくる上でとても重要で、鉄筋工事に関する検査項目にもなっていることから、鉄筋の組み立てを行う、鉄筋工は、この「かぶり」を確保することがとても重要な仕事になっています。

また、この「かぶり」には大きく分けると純かぶり芯かぶりの2つの種類があります。

「純かぶり」と「芯かぶり」

鉄筋配筋図・とも丸*

配筋図例

「純かぶり」とは…

一般的にいわれる「かぶり」「かぶり厚」と同じ意味で、仕様書(ルールブック)や配筋図などにより指定された、コンクリート表面から鉄筋表面までの最短距離のことです。

または、最低限確保すべき、コンクリート表面から鉄筋表面までの距離のことを指す場合もあります。

 

鉄筋の純かぶり・とも丸*

 

「芯かぶり」とは…

主に、橋やトンネルなどの、土木工事で作られる構造物の配筋図(鉄筋の設計図)に指定される「かぶり」で、鉄筋の中心までの距離のことを指します。

基本的に、配筋図には鉄筋コンクリート構造物に使われる、主筋(しゅきん)の中心までの距離が表記・指定されています。(主に太い径数の鉄筋を主筋といいます。)

鉄筋の芯かぶり・とも丸*

 

なぜ鉄筋のかぶりの確保が重要で必要?

鉄筋のかぶりの確保がなぜ重要なのか、その理由には鉄筋とコンクリートのそれぞれの特性が大きく関わっています。

鉄筋かぶり測定・とも丸*

鉄筋は時間とともに、空気中の酸素や水分によって化学反応(酸化)をおこしサビてしまいます。

さらに、鉄筋はサビてしまうと体積が膨張してしまうため、コンクリートの中に入った鉄筋がサビてしまうと、内部から膨張することによってコンクリートを破壊してしまいます。

コンクリート自体は非常に強いアルカリ性の物質で、鉄筋を包み込むことにより鉄筋の酸化を防ぐ、不動態皮膜(ふどうたいひまく)を形成し鉄筋をサビにくくします。

が、

コンクリートは空気に触れる表面部分から、空気中のCO2(二酸化炭素)と化学反応をおこし、その強いアルカリ性を失っていきます。

これを、コンクリートの中性化といい、コンクリートの中性化は時間とともに内部へ進行していき、鉄筋に到達すると、鉄筋を酸化から防いでいた不動態皮膜もなくなり、鉄筋がサビやすい状態になってしまいます。

そのため、鉄筋の「かぶり」が指定された距離より短いと、コンクリートの中性化が早く鉄筋に到達し、鉄筋がサビやすくなり、コンクリートの崩壊が当初の予定より早まり、鉄筋コンクリート構造物の寿命を短くしてしまうことになります。

このことから、鉄筋の「かぶり」の確保はとても重要で必要なこととなっています。

 

さらに「かぶり」を確保することによって、コンクリートで熱に弱い鉄筋を火災などから守る効果があり、耐火性を高める観点からも重要になっています。

 

 

鉄筋の最小かぶり

マンションやビルなどの建築物には、仕様書(ルールブック)によって部位ごとに「かぶり」の最小かぶりが定められています。

参考:公共建築工事標準仕様書・国土交通省

 

最小かぶり厚さ

(構造部分の種類)最小かぶり厚さ(mm)
土に接しない部分スラブ・耐力壁以外の壁仕上げあり20
仕上げなし30
柱・梁・耐力壁屋内・仕上げあり30
屋内・仕上げなし30
屋外・仕上げあり30
屋外・仕上げなし40
擁壁・耐圧スラブ40
土に接する部分柱・梁・スラブ・壁40
基礎・擁壁・耐圧スラブ60
煙突等高熱を受ける部分60

※「仕上げあり」とは、モルタル塗り等の仕上げがあるもの。(仕上塗材、塗装、以外)

※スラブ・梁・基礎及び擁壁で、直接土に接する部分のかぶり厚さには、捨てコンクリートの厚さは含まない。

 

また、橋や高速道路などの土木工事で作られる鉄筋コンクリート構造物は原則、設計図面の配筋図ごとに指定された「かぶり」を確保するのが基本ですが、最低かぶり(純かぶり)の参考として、鉄筋用スペーサ、 鉄筋用スペーサ、かぶりに関する技術的基準(抜粋)によると、

 

鉄筋のかぶり(純かぶり)

コンクリート面の状態純かぶり厚(mm)
はり柱・壁フーチング
・一般の場合3540
・水中及び土中の場合7070
・水中施工する部材100100

※プレキャスト部材のpc鋼材の最小かぶりは25mm

 

となっています。

鉄筋の「かぶり」まとめ

「かぶり」は、鉄筋コンクリート構造物の寿命を大きく左右する重要な役割をもっており、その「かぶり」を確保することが求められる、鉄筋工もまた鉄筋コンクリート構造物を作る上で重要な役割をになっています。

鉄筋工は日頃から、鉄筋工事の中で「かぶり」を確保するのが当たり前と思って組み立てを行っているかもしれませんが、

この、なぜ「かぶり」の確保が重要なのか理解した上で、鉄筋の組み立てを行うと、鉄筋工としての、鉄筋工事のやりがい責任の重さを感じることができるのではないでしょうか。

 

おしまい。

 

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