鉄筋工事・建築と土木の違いは?鉄筋工の基礎知識【鉄筋工が解説】

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鉄筋橋台・とも丸*鉄筋

1級鉄筋施工技能士のとも丸*です。

鉄筋工事には、大きく分けて建築の鉄筋工事土木の鉄筋工事の2つの種類があります。

基本的に鉄筋を組み立てるということは同じなんですが、各工事で考え方や押さえるべきポイントなどが違ってきます。

これは、鉄筋工の仕事に興味がある方や、これから鉄筋工として働く予定がある方には、ぜひ知っておいて欲しい基礎の知識になります。

今回はそんな「建築の鉄筋工事」と「土木の鉄筋工事」の違いについて、鉄筋工からの視点で、できるだけ分かり易く解説していきます。

鉄筋工事・建築と土木の違い

鉄筋ボックス01

建築工事と土木工事の大まかな違いは、

  • 建築工事……ビル・マンション・学校などの建物。
  • 土木工事……橋(橋梁)・トンネル・ダムなどの構造物。

マンションや学校など、人が暮らす上で生活の基盤となる建物などの建設を行うのが建築工事で、橋やトンネルなど、主に公共工事などの、人の生活を豊かにするための建設工事などが土木工事になります。

この2つの工事の中に含まれる鉄筋工事は、よく同じ物だと思われがちですが、実際に鉄筋を組み立てる、鉄筋工からの視点では、同じようで同じではありません。

  1. 鉄筋径の違い
  2. 結束の違い
  3. 図面の違い
  4. 配筋検査の違い

1,鉄筋径の違い

鉄筋経表・経の種類

鉄筋経の種類

 

鉄筋工事の建築と土木の違いの一つに鉄筋経の違いがあります。

鉄筋経とは……

鉄筋の直径のこと。D10は直径10mm、D32は直径32mmなど決められた規格があり、経が大きくなるにつれ一本当たりの重量も増える。

建築では主にD10からD25までが使われることが多く、ほとんどが人力の作業となります。

土木ではD13からD51までと、比較的太い鉄筋が使われることが多いため、基本的には人力での作業になりますが、重量もかなり重くなることから人の力だけでは、組み立てが不可能になることもあり、クレーンなどの重機が必須となってきます。

 

2、結束の違い

鉄筋の組み立ては、鉄筋が交差した部分を、結束線(専用の針金)で縛る(結束)ことによって固定し、鉄筋を指定された形に組み立てていきます。

土木の鉄筋工事では、原則この鉄筋が交差した部分を全て結束(全結束)しなければいけませんが、建築工事では、鉄筋が交差した部分を一箇所おきや二箇所おきに結束すればよいとされています。

この違いから、建築と土木では結束線の必要な量や、結束にかかる人数がことなり、コスト面での違いも出てきます。

3,図面の違い

鉄筋工事の建築と土木では、材料の拾い出しや鉄筋を組み立てるために使う設計図、図面が大きく違います。

建築鉄筋仕様書・とも丸*

鉄筋仕様書例 出典:日本建設業連合会

 

建築工事に使われる鉄筋の図面には、鉄筋の径数やピッチ(鉄筋の間隔)の指定。以外の詳細な配筋図や加工図がなく、図面に添付された仕様書や共通仕様書(ルールブック)を参考に、材料を拾い出し、加工を行い、配筋、組み立てを行うことになります。

建築では、この詳細な配筋図や加工図が無いため、仕様書に定められたルールの範囲内(許容)であれば、自由度の高い、配筋・組み立てや加工が行えます。

しかし、許容範囲内での自由度は高いのですが、この仕様書を読み解くには長年の経験と知識が必要となってきます。

建築鉄筋図面1

建築鉄筋図面2

一方、土木工事の鉄筋の図面は、建築の図面とは違い、詳細な鉄筋の配筋図と加工図や設計数量が明記されており、加工筋の形状・寸法・本数・ピッチ・かぶり・継ぎ手の長さなど細かく指定されています。

土木では、この詳細な配筋図や加工図があることで、図面どおりに加工・組み立てを行えばいいだけなのですが、図面での指定を忠実に再現しなければならず、現場での組み立てをしやすいように加工や寸法の変更をしようと思っても、鉄筋工だけでは勝手にできないといった、自由度の低さもあります。

鉄筋配筋図1

鉄筋配筋図2

鉄筋加工図・とも丸*

4,配筋検査の違い

鉄筋の配筋検査の違いには、主に工事の発注者が違うなどという特徴があります。

建築工事は民間からの発注が多く、鉄筋の配筋検査を民間の検査会社に委託することが多く、仕様書に定められたルールが守られているかなどを厳しくチェックしていく形で行われます。

一方、土木工事では、工事の発注者が国土交通省や県など公共工事となるため、配筋検査は公共機関の立ち会いのもと行われ、図面通りの配筋やかぶりの確保がされているか設計数量通りなのか、など細かく厳しい検査が行われます。

どちらも厳しい検査に違いはありませんが、建築は仕様書の許容範囲内に収まっているか?土木の場合は図面にて指定された物を忠実に再現できているのか?がポイントとして見られていきます。

鉄筋橋脚・とも丸*

 

鉄筋工事・建築と土木のまとめ

建築も土木、どちらも同じと同じと思われがちな鉄筋工事。

でも実際は各所での違いがありました。

  • 使用される鉄筋の径数が土木は太い。
  • 結束は土木に比べて建築の方が少なく済む。
  • 土木は図面の指定を厳守・建築は自由度が高いが仕様書の解読が難解。
  • 配筋検査を行う検査機関が違う。

この他にも現場独自のルールや地域によってもルールや考え方が違ってきたりするので、それぞれの工事の特徴の違いを把握し経験していき、柔軟に対応していくことが大事になってきます。

 

おしまい。

 

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