鉄筋の重ね継ぎ手(ラップ)・鉄筋工の基礎知識【鉄筋工が解説】

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鉄筋継ぎ手部結束鉄筋

鉄筋のラップの長さをちゃんと確認しとけよ。

はい!(汗)

…チェケラッ!(ラップって何だっけ?

ラップとは……建築用語で鉄筋の重ね重ね継ぎ手のこと。

 

1級鉄筋施工技能士のとも丸*です。

今回は鉄筋工として、必ず覚えておきたい基礎知識「鉄筋の重ね継ぎ手」について解説していきます。

鉄筋の重ね継ぎ手

鉄筋の重ね継ぎ手とは?

鉄筋の重ね継ぎ手とは、2本の鉄筋を定められた長さで重ね合わせ1本の鉄筋と同等の性能を発揮させる方法になります。

鉄筋の重ね継ぎ手1

 

 

なぜ鉄筋の重ね継ぎ手が必要なのか?

鉄筋の長さは、基本的に最大で12mまでの製品しかありません。

しかし、建設現場で作られる鉄筋コンクリート構造物には12mを超える長さの鉄筋が必要となる場合があります。

例えば、全長20mの構造物を作るのに、20mの鉄筋が必要な場合、最大長12mの鉄筋では長さが足りません。

そんな時は、8m+12mや、6m+6m+8mなど、鉄筋を足して20mになるように、必要な長さを分割します。

しかし、このまま分割した鉄筋を突き合わせただけの継ぎ手部分は、コンクリートの付着力が弱く、一本の鉄筋と同等の性能は発揮できません。

そこで、分割された鉄筋を、一定の長さ重ね合わせる(重ね継ぎ手)ことで、重ね合わせた部分のコンクリート付着力を上げ、一本の鉄筋だった時と同等の性能を発揮させることができます。

12m以内の長さが必要な場合でも、現場での作業効率UPのために分割する場合もあります。

鉄筋の重ね継ぎ手の長さは?

鉄筋の重ね継ぎ手の長さは、一般的な建築工事では下の表のように、コンクリートの強度や鉄筋の強度、径数によって決められています。

また、フック(鉄筋を折曲げ加工)を付けることによりコンクリートの付着力が増し、継ぎ手の長さは通常よりも短くなります。

なお、建築工事ではD19以上の鉄筋は「圧接継手」をする場合が多く、D35以上の異形鉄筋については、原則として重ね継ぎ手は行わないことになっています。

※径数の異なる鉄筋の重ね継ぎ手長さは、細い方の継ぎ手長さを適用します。

直線継ぎ手の長さ(L1)

コンクリートの設計基準強度(N/m㎡)
SD295A/SD295B
SD345
SD390
SD490
1845d50d
2140d45d50d
24~2735d40d45d55d
30~3635d35d40d50d
39~4530d35d40d45d
48~6030d30d35d40d

※dとは鉄筋経のことを指す。

例:40d=40×D13=520     40d=40×D10=400
直線重ね継ぎ手図・とも丸*

直線重ね継ぎ手

 

フック付き継ぎ手の長さ(L1)

コンクリートの設計基準強度(N/m㎡)
SD295A/SD295B
SD345
SD390
SD490
1835d35d
2130d30d35d
24~2725d30d35d40d
30~3625d25d30d35d
39~4520d25d30d35d
48~6020d20d25d30d

フック付き継ぎ手の場合、L1(継ぎ手長さ)は折り曲げ開始点(直線部分)からとなっています。

フック付き継ぎ手・とも丸*

フック付き重ね継ぎ手

土木工事の鉄筋の重ね継ぎ手の長さは、各配筋図や鉄筋加工図により指定された長さを厳守しなければいけません。(多少なら指定より長くなる分には構いません。
土木鉄筋図面ラップ長・とも丸*

重ね継ぎ手の位置・ずらし方(ずらす距離)

鉄筋を組み立て、重ね継ぎ手をする場合、重ね継ぎ手の一定の長さを確保することが重要ですが、

継ぎ手が複数箇所に及ぶ場合は、継ぎ手部分にかかる力(応力)を分散させるため、各重ね継ぎ手の位置が同じ箇所にならないように一定の距離ずらす必要もあります。

また、スラブや壁配筋では、鉄筋を無理やり重ねる必要はなく、場合によってはあき重ね継ぎ手とすることもできます。ただし、鉄筋のあきは0.2L1かつ150mm以下としなければいけません。

重ね継ぎ手のずらし方は、上記の図のようにずらさなければいけません。(どちらのずらし方でも構いません。)

なお、フック付きの継ぎ手の場合も同様のずらし方でOKです。

:D13の鉄筋のラップ長が40dだった場合、L1=520となり、0.5L1は260となります。

 

空き重ね継ぎ手・とも丸*

ちなみに、継ぎ手位置が同じ位置に並ぶことを「いも継ぎ手」といい、継ぎ手が一箇所に集中することにより構造物全体の強度が低下するため、原則いも継ぎ手は行ってはいけません。

鉄筋のいも継ぎ手・とも丸*

 

鉄筋の重ね継ぎ手まとめ

鉄筋の継ぎ手の方法には、重ね継ぎ手以外に「圧接継手」「機械式継手」などもありますが、2つの鉄筋を1つに繋げるということは、元々1本の鉄筋よりも強度的に不安な部分になるということになります。

そのため、鉄筋の継手を行う場合には、継手位置のずらし方(ずらす距離)や、継手の長さなどの決められたルールをしっかり守ることが大切になってきます。

 

おしまい。

コメント

  1. 藤田五郎 より:

    「継ぎ手のずらし方」の左の図は「0.5L1以上」で正解ですが、右の図は「
    0.5L1」が正解で「以上」とする解釈は誤りと思われます。ご確認ください。

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