宅建業法⑦「業務場所に関する規制」【宅建独学コース】

スポンサーリンク
オフィス宅建業法①~

事務所・案内所・広告・標識・従業者証明書・守秘義務など

宅建業者には、業務を行う上で守らなければならない、さまざまなルール(規制)があります。

この記事では、その中から、宅建業者が業務を行う、「事務所」や「案内所」などの、場所に関する規制について解説しています。

 

業務を行う場所

宅建業者が業務を行う場所には、大きく分けると「①事務所」の他にも、「②契約行為等を行う案内所等」や「③契約行為等を行わない案内所等」などがあります。

※「事務所」の定義についての記事は→宅建業法①「宅建業」「事務所」【宅建独学コース】

【宅建業者が業務を行う場所】

①事務所・本店(主たる事務所)支店(従たる事務所)

・継続的に業務をおこなうことのできる施設で、契約締結権限を持つ使用人を置く場所

②契約行為等を行う案内所等1,継続的に業務を行う場所で、事務所以外のもの

2,分譲を行う案内所

3,分譲の代理・媒介を行う案内所

4,展示会その他の催しをする場所

③契約行為等を行わない案内所等・契約行為を行わない上記の1~4

物件の所在地

※契約行為……契約の締結、申込みを受けること。

※使用人……支店長、営業所長など、営業に関して一定範囲の代理権を持つ者。

 

「案内所等」の届出

宅建業者は、「契約行為等を行う案内所等」を設置する場合、業務を開始する10日前までに免許権者と案内所の所在地を管轄する都道県知事両方、案内所を設置した旨の届出を行わなければいけません。

(「契約行為等を行わない案内所等」には、設置の届出不要。)

届出事項

  • 所在地
  • 業務内容
  • 業務期間
  • 専任の宅建士の氏名

※この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。

 

この届出は、実際に案内所を設置した宅建業者が行います。

販売代理など、依頼したほうの宅建業者はこの届出義務はありません

 

なお、免許権者が「国土交通大臣」の場合は、案内所の所在地を管轄する都道県知事を経由して届出を行います。

 

「専任の宅建士」の設置義務

事務所」や「契約行為等を行う案内所」には、一定数の成年者である「専任の宅建士」を設置する義務があります

※「成年者」…20歳以上、20歳未満で婚姻した者。

※「専任」…その事務所や案内所に常勤していること。

※【専任の宅建士】とは…事務所等に常勤し、専ら(もっぱら)宅建業に従事する者。

 

「専任の宅建士」の設置場所と設置人数

①事務所業務に従事する者(従業員)の5人に1人以上の割合で設置
②一定の案内所・展示会場従業者数にかかわらず1人以上設置(最低1人)

※事務所の例……従業者が5人なら1人。6人~10人なら2人。

 

①の「事務所」の定義については→こちらの記事

②の「一定の案内所・展示場」とは、宅建業に関する契約を締結したり、契約の申し込みを受けることのできる場所(契約行為等を行う案内所等)、のことを指します。

たとえ臨時のテント張り案内所であっても、「契約の締結・申し込み」ができる場所には専門家(専任の宅建士)の設置が必要ということですね。

 

「専任の宅建士」の人数が不足した場合は、2周間以内に補充するなどの必要な措置をとらなくてはいけません

これを怠った場合指示処分だけでなく、業務停止処分や罰則の対象ともなります

 

「標識」の掲示

宅建「標識」・とも丸*

「標識」を掲示する場所

宅建業者は、以下の場所には、その場所ごとに公衆の見やすい場所に、自己の「標識」を掲示しなければいけません。

  • 事務所
  • 案内所等

つまり、記事上記の「宅建業者が業務を行う場所」すべて、「標識」の掲示が必要ということです。

 

※この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。

 

「標識」を掲示する者

基本的に、「標識」の設置義務があるのは、各施設を設置した宅建業者になります。

例外として、宅地・建物の販売、分譲を行う場合、物件の所在地」(現地では、販売業者(分譲業者)などの「売主」が標識の掲示義務を負います。

 

例えば…

宅建業者Aが、分譲マンションの販売代理を、宅建業者Bに依頼し、Bが分譲マンションの近く案内所を設置した場合。

 

標識の設置者・とも丸*

「案内所」には、宅建業者Bに標識の設置義務があり、分譲マンションがある「現地」には、宅建業者Aに標識の設置義務があります。

 

「標識」の記載事項

標識には、以下の事項の記載が必要です。

  • 「免許証番号」
  • 「免許の有効期間」
  • 「商号又は名称」
  • 「代表者氏名」
  • 「主たる事務所の所在地」
  • 「専任の宅建士の氏名」(※契約行為等を行う場所のみ)

また、分譲の代理・媒介(仲介)を行う案内所等の標識の場合には、上記の記載事項に加えて売主の商号または名称」売主の免許証番号」の記載も必要です。

「事務所」に関する規定

宅建業において「事務所」とされる場所には、案内所等にはない、「事務所」だけに適用される規定があります。

 

「報酬額」の掲示

宅建業者は、事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、国土交通大臣が定めた「報酬額」の掲示が必要です。

「報酬額」についての記事→

 

「従業者名簿」の備え付け

宅建業者は、その事務所ごとに、「従業者名簿」を備え、一定の事項を記載しなければいけません。

また、取引の関係者からの請求があった場合は、この従業者名簿」を閲覧に供しなければいけません。(見せないといけない義務)

【名簿の記載事項】

  • 従業者の氏名・生年月日
  • 主たる職務内容
  • 宅建士であるか否かの別
  • 当該事務所の従業者となった年月日
  • 当該事務所の従業者でなくなった時は、その年月日
  • 従業者証明書の番号

なお、この名簿は、最終の記載をした日から10年間保存する義務があります

 

※この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。

 

「帳簿」の備え付け

宅建業者は、事務所ごとに、業務に関する「帳簿」を備え、宅建業に関して取引のあったつど、一定の事項を記載しなければいけません。

※この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。

【帳簿の記載事項】

  • 取引の年月日
  • 物件の所在・面積・概況(宅地の地目や建物の用途等)
  • 取引態様(当事者・代理・媒介)の別
  • 相手方または依頼者、代理人等の氏名・住所
  • 取引に関与した他の宅建業者の商号又は名称
  • 売買金額、交換物件の品目及び交換差金、賃料
  • 報酬の額
  • その他取引に関する特約、その他参考となる事項

 

また、宅建業者は、この「帳簿」を各事業年度末に閉鎖し、閉鎖後5年間保存しなければいけません

なお、「宅建業者が自ら売主となる新築住宅に関する帳簿」については、閉鎖後10年間の保存義務があります。

 

※この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。

ちなみに、「帳簿」は従業者名簿と違って、閲覧に供する義務はありません

 

「業務場所の規制」まとめ

・宅建業者が業務を行う場所は、大きく分けると3つ。

  1. 「事務所」
  2. 「契約行為等を行う案内所等」
  3. 「契約行為等を行わない案内所」

 

・宅建業者が業務を行う場所には、「届出」や「標識」などの規制がある。

設置の届出専任の宅建士の設置標識の設置
「事務所」変更があった場合、30日以内に届出が必要5人につき1人以上、必要必要
「契約行為等を行う案内所等」設置10日前までに届出が必要1人以上、必要必要
「契約行為等を行わない案内所等」不要不要必要

 

・「事務所」のみに適用される規制がある。

  • 報酬額の掲示
  • 従業者名簿の備え付け
  • 帳簿の備え付け

 

従業者名簿最終の記載から10年間保存閲覧義務あり
帳簿事業年度末で閉鎖後5年間保存(自ら売主の新築住宅は10年間)閲覧義務なし

 

名刀5丁=名簿10年、5年帳簿、と覚えるといいかも。

・ほとんどが※この規定に違反した場合は、50万円以下の罰金に処せられます。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました