宅建業法④「宅地建物取引士制度」【宅建独学コース】

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宅建士制度01宅建業法①~

不動産取引をスムーズにトラブルなく進めるためには、さまざまな法律知識が欠かせません。

そこで、宅建業者は、事務所ごとに「宅地建物取引士」を設置して、重要事項の説明や契約書の記名押印といった重要な事務を担当させなければいけません。

この記事では、そんな不動産取引をする上で必要不可欠な宅地建物取引士」について、宅建業法に定められた規定を解説しています。

 

宅地建物取引士になるまで

宅建士制度02

 

宅地建物取引士資格試験に合格  ←ここでは単なる合格者(有効期間は一生)

↓↓↓

宅地建物取引士資格の登録   ←まだ宅地建物取引士資格者(有効期間は一生)

↓↓↓

宅地建物取引士証の交付    ←ここで「宅地建物取引士」(有効期間は5年

 

宅地建物取引士資格試験

宅地建物取引士資格試験(宅建試験)は、都道県知事が行う試験で、一度「合格」すれば、取り消されない限り一生有効

合格の取消しとは?

不正手段により合格した者は、都道県知事の権限により、その合格を取り消され、最長3年間は資格試験の受験を禁止される。

宅地建物取引士資格「登録」

宅建試験合格者で、宅建業に関し2年以上の実務経験を有する者や、国土交通大臣指定の登録実務講習を受講した者は、「欠格要件」に該当しなければ、宅地建物取引士資格の「登録」を受けることができます。

 

登録実務講習……講習を修了することによって、2年以上の実務経験と同等と認定される講習。

欠格要件については→宅建業法③「免許の欠格要件」「登録の欠格要件」【宅建独学コース】

 

「登録」を受けようとする者は、宅建試験を受験した都道県知事に登録の申請をしなければいけません。

いったん資格が登録されると、登録削除されない限り一生有効です。

 

宅地建物取引士資格「登録簿」

資格の登録は、知事が宅地建物取引士資格「登録簿」に必要事項を登載(記載)することによって行われます。

【資格登録簿の登載事項】変更登録の必要性
住所氏名本籍、生年月日、性別あり
宅建業者に勤務している場合

1,勤務先宅建業者の商号または名称

2,勤務先宅建業者の免許証番号

あり
その他事項

(資格登録番号・登録年月日)(試験の合格証書番号・合格年月日)(指示処分・事務禁止処分の内容・年月日)

なし
「登録簿」は一般には公開されません。これに対し「宅建業者名簿」は一般に公開されるので違いに注意。

変更の登録

登録をしている者は、上記の資格登録簿の登載事項に変更があった場合、登録をしている都道県知事に対し、遅滞なく、「変更の登録」を申請しなければいけません。

※遅滞なく…ただちに、すみやかに、迅速に

 

また、氏名または住所を変更した時は、後述する「宅地建物取引士証」の書換え交付の申請もしなければいけません。

変更の登録は、宅建士証の交付を受けていなくて、事務禁止期間中であってもする必要があります。

資格登録簿の変更の登録は「遅滞なく」で、宅建業者名簿の変更の届出は「30日以内」なので混同しないように注意。

 

登録の移転

「登録の移転」とは、例えば、東京都知事の登録を受けている者が、福岡県知事の登録へ変更するように、別の都道府県に登録先を変えること。

登録の移転は、あくまで任意であって義務ではありません。

 

なお、単に他県に引っ越して、自宅の住所が変わった等では、「登録の移転」の申請はできないことになっています。

 

「登録の移転」ができるのは、下記の要件を両方満たす場合のみ。

  • 登録先の都道府県以外の宅建業者の事務所に勤務することになった場合。
  • 事務禁止処分の期間中でない場合。

登録の移転の申請は、現在登録している都道県の知事を経由して、移転先の知事に行います。

また、登録の移転を行った場合は、登録先の知事から新たな「宅建士証」を受ける必要があります。

 

死亡等の届出

登録を受けている者に、下記の事由が発生した場合は、その旨を登録している都道県知事に届出をしなければなりません。

【届出事由【届出義務者】【届出期間】
①本人死亡相続人知った日から30日以内
②後見開始の審判を受けた(成年後見人)成年後見人事由が生じた日から30日以内
③保佐開始の審判を受けた(保佐人)保佐人     〃
④破産手続きの開始の審判を受けた本人     〃
⑤登録の「欠格要件」に該当することになった本人     〃

ポイントは届出義務者と届出期間の違いに注意。

 

宅地建物取引士証

「宅建士証」・とも丸*

交付申請

都道府県に登録が完了した者は、登録先の都道府県知事に対して、「宅地建物取引士」の交付を申請することができます。

 

交付申請にあたって、交付を受けようとする者は、登録している都道県知事の指定する法定講習申請前の6ヶ月以内のもの)を受講しなければいけません。

ただし、宅建試験の合格日から1年以内に交付の申請をする場合には、法定講習の受講が免除されます。

 

有効期間と更新

「宅地建物取引士証」の有効期間は5年

有効期間満了時に更新を希望する場合は、更新の申請が必要で、交付申請と同じく申請前6ヶ月以内法定講習を受講する必要があります。

 

登録の移転に伴う「宅建士証」の交付

「宅建士証」は登録している都道県知事から交付を受けるものですから、「宅建士証」の有効期間中に登録の移転申請をおこなうと、元の「宅建士証」の効力は失効します。

そのため、登録の移転の際には、移転先の都道県知事から新たな「宅建士証」の交付を受ける必要があります。

 

新たに受けた「宅建士証」の有効期間は、従前の「宅建士証」の残存有効期間となり、従前の「宅建士証」と引換え交付となります。

 

「宅建士証」の書換え交付

「宅建士証」に記載された、氏名または住所を変更した場合は、遅滞なく変更の「登録」と合わせて「宅建士証」の書換え交付を申請しなければいけません。

氏名住所本籍勤務先の宅建業者の商号・名称、免許番号
変更の登録 ◯ ◯ ◯        ◯
宅建士証の書換え交付   ×        ×

書換え交付を申請した場合も、原則、従前の「宅建士証」との引き換え交付になります。

 

「宅建士証」の再交付

「宅建士証」を亡失・滅失・汚損・破損した場合には、交付を受けた都道県知事に対して、再交付の申請をすることができます。

 

なお、再交付受けるまでは、宅建士としての「事務を行うことはできません。

 

「宅建士証」の返納

更新をせず有効期間が過ぎ「宅建士証」の効力を失った時、登録が削除された場合は、「宅建士証」を交付を受けた都道県知事に返納しなければいけません。

また、亡失(失くした)したことにより再交付を受けた者は、亡失した「宅建士証」を発見した場合、発見した古い「宅建士証」を、速やかに、返納しなければいけません。

 

「宅建士証」の提出

宅建士が事務禁止処分を受けた場合は、速やかに、「宅建士証」を交付を受けた都道県知事に提出しなければいけません。

この義務を怠った場合、10万円以下の過料(罰金)に処されることがあります。

 

「宅建士証」の提示

宅建士は、取引の関係者から請求があった時は、「宅建士証」を必ず提示しなければいけません。

また、重要事項の説明をする場合には、相手から請求がなくても、「宅建士証」を提示する義務があります。

個人情報保護の観点から、住所欄まで見せる必要はないので、住所欄にシールを貼って提示しても良いことになっています。

 

宅建士の事務

宅建士制度03

宅建業者が行う業務の中で、以下の3つの事務については、必ず「宅地建物取引士」に担当させなければいけない決まりになっており、宅建士でなければできない独占業務になっています。

 

  1. 重要事項の説明
  2. 重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
  3. 契約書面(37条書面)への記名・押印

 

また、この3つの事務は、専任の宅建士である必要はなく、「宅建士」であれば誰でも行うことができます。

 

専任の宅地建物取引士

専任の宅建士】とは…事務所等に常勤し、専ら(もっぱら)宅建業に従事する者。

なお、事務所や契約行為等を行う案内所には、一定数の成年者である「専任の宅建士」を設置する義務があります。

※「成年者」…20歳以上、20歳未満で婚姻した者。

※「専任」…その事務所や案内所に常勤していること。

 

「専任の宅建士」の設置場所と設置人数

①事務所業務に従事する者(従業員)の5人に1人以上の割合で設置
②一定の案内所・展示会場従業者数にかかわらず1人以上設置(最低1人)

※事務所の例……従業者が5人なら1人。6人~10人なら2人。

①事務所の定義については→こちらの記事

②一定の案内所・展示場とは、宅建業に関する契約を締結したり、契約の申し込みを受けることのできる場所のことを指します。

たとえ臨時のテント張り案内所であっても、「契約の締結・申し込み」ができる場所には専任の宅建士の設置が必要ということですね。

 

宅地建物取引士としての行動規範

宅建士は、専門家として、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地・建物の流通に資するよう、

公正かつ誠実に宅建業法に定める事務を行い、関連業務に従事する者との連携に努めなければならない。」

「宅建士の信用・品位を害するような行為をしてはいけない。」

「専門家として必要な知識・能力の維持向上に努めなければならない。」

と宅建業法に規定されています。

「信用・品位を害するような行為をしていけない」は、業務以外のプライベートなどでも厳守しなくてはなりません。

 

 

 

 

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